レジャーフィッシング 2017年6月号「春だフカセ釣りへ行こう!」

フカセ釣りのエキスパートである石井謙さんは、チヌ釣りのおもしろさを実感してもらうため、自身が主催する釣りクラブのメンバーを釣り場へと誘った。乗っ込みシーズンを迎えるとチヌは釣れ盛るが、今回は乗っ込みの走りのさらにその前という難しい時期。そんななか、チヌ釣り初心者の難波宝さんは見事に本命のチヌを釣り上げた!

フカセ釣りはマキエが肝心

1. 岡山県倉敷市 大室港

2.岡山県倉敷市 県漁連裏

※1 ここは勝手知ったる石井さんのホームグラウンド。海中に潜って地形や魚の様子を確認したこともあるという。時期、海水温、当日の潮などをもとに、狙い方を解説する

※2 まずは石井さんが仕掛けを投入する。20mほど沖へキャストして右へと流れる潮に乗せて、波止コーナーの手前まで探っていくとのこと

※3 モタレ潮ができる場所に狙いを定めて、20~30m沖に仕掛けを投入した

※4 風が強かったので、道糸を海面につけてなじませた

※5 ウキが少しシモったときには、ほんの少しだけ竿を持ち上げて様子を見る。藻や根に掛かっている可能性もあるが、魚がエサをくわえているなら、誘ってやればエサを食い込む場合もある

※6 竿を持ち上げて道糸をさばく方法をレクチャー

※7 リズムよくマキエを撒く郁くん

この釣り場でチヌを釣るにあたって有望なポイントは、イラストにあるABCの3カ所です。潮は東にある沖一文字方向からやってきて、Bから跳ねていきます。本流の潮の流れが弱いときほど、沖へと跳ねる潮がウの方向に動くので釣りやすいです。ポイントAから竿を出すなら、沖にできるモタレ潮付近とポイントBの沖にあるシモリ周りを狙います。ポイントBから釣るなら、本流イとウの影響でできる潮壁やシモリを狙います。ポイントCでは、ポイントBへの引かれ潮を狙うといいでしょう。

魚影が濃い釣り場で春夏秋冬いつでもチヌを狙えますが、下げ潮のときはイラストにある本流がイの角度になって釣りにくくなります。ただし、下げ始めと下げ終わりを狙うか、流速が1ノット程度の潮まわりなら比較的釣りやすいでしょう。そのときは、浮力の高いウキかマイナスウキなどを使う特殊な釣り方になります。
(解説・石井謙)

タックル考察

竿

今回の釣り場は潮の流れが速くて水深も深いため、長さ5.3mで1号の軟らかめの磯竿を使いました。竿の硬さはエリアや釣れる魚のサイズと種類に応じて選びます。

リール

潮流を利用して釣ることが多いなら、1.5~2号を150mほど巻いた小~中型のスピニングリールを用意します。仕掛けを沖へ流す場合はハイギアのほうが回収の際は楽です。

ウキ

サシエを投げたり送ったりする役目、そしてアタリを明確にする役目があります。今回は遠投で深場を狙うため、大きい(重い)1号を選択しました。

道糸

仕掛けと釣り人とをつないで、魚を手繰り寄せるためのアイテムです。大きく分けるとフロートとサスペンドの2種類があります。前者は流す釣りや春のガラ藻が多い場所向き、後者はウキごと沈めて狙う、といったように使い分けます。

ハリス

根ズレを防ぐために耐摩耗性を高めています。ナイロン糸に比べると比重が大きいために沈下速度が速くて潮によくなじみます。今回はハリスを3ヒロ(4.5m)とって、深場へアプローチしました。

ガン玉

サシエを狙った場所へ送り込むためにはガン玉(ナマリ)が必要です。状況に応じて使い分けて、サシエが沈むスピードを調整します。仕掛けを狙いのタナへ早く送り届ける「落としナマリ」、仕掛けを潮になじませる「潮ナマリ」、アタリを明確にする「口ナマリ」があります。

ハリ

魚との唯一の接点がハリです。チヌ狙いなら、チヌバリ1~3号を用意しましょう。2号を基準にして、のどの奥まで飲ませたいときには1号、フグやベラなど小型のエサ盗りが多くハリ掛かりするときは3号と使い分けます。潮が速いときにはハリの重量を重くしたり、形状を変えたりしても効果があります。

(解説・石井謙)