取材協力/ヒューマンアカデミー福岡校フィッシングカレッジ
今回同行させてもらったのは柳原広大くん。釣りといえばバス釣りばかりだったが、春に進学のため福岡へやってきてから海釣りを経験し、フカセを含めたエサ釣りのおもしろ さを知ったという。
「磯竿での魚とのやり取りがホントにおもしろいんですよね」1
だが学生ゆえ、足といえば自転車2。そして釣りにかけられる予算は少ない3。幸いベイエリアの近くに住んでいるので、竿を背に自転車をこいでルアーにエサにと釣りに出かけているという。今回はフカセを楽しむべく、朝起きて準備し、福岡市近郊のチヌ釣り場として有名な通称「西公園護岸」へとやってきた5。
「せっかく早起きしましたし、5匹は釣りたいですね!」
生さなぎに乾燥さなぎ、生さなぎエキス配合で広範囲に強力に効かせることができる。黄ムギとコーンはひらひらと沈みつつ、カラーでもアピール。高比重でまとまりやすいので、オキアミ+単体でもいいし、ベースにも最適。
マキエを作り、半遊動仕掛け4を作って釣り開始。沖にある構造物から数メートル離れた場所を狙っていく。マキエでおびき出して釣る作戦だ。マキエを2杯撒いて、仕掛けを投入。そしてまたマキエを2杯とマキエの投入の手際はなかなかのもの。
「ルアーは投げて引くのがメインですけど、ウキ釣りは投げて流すので真逆な感じで新鮮なんですよ。アタリもウキの動きで分かるから興奮しちゃいますよね」
狙っている場所の水深は4m もないという。ハリスを3m ほどとり、潮の流れがあまりないのでウキは浮力Bにウキ下にG2のオモリ付きウキストッパー、ハリ上50cmにガン玉のG5を1個打っている。上潮が流れているので仕掛けが斜めになることを計算し、ウキ止めはハリから4mに設定。
1 磯竿の釣りは超楽しい
柳原くんがハマっているように、磯竿で魚とやり取りすることは非常におもしろい。長い竿が大きく曲がる視覚的興奮と魚の重さと引きが伝わる感触はスリリングでたまらない。
柳原「楽しいだけじゃなくて、やり取りの勉強もできます。このあとルアーロッドで釣ると、またひと味違って楽しいですね」
釣具店をのぞけば5,000円前後でしっかり使える磯竿がある。エントリーしやすい環境は整っているのだ。
柳原くんが使っているのは、シマノ『ランドメイト』1.5号530。1.5号ならサビキ釣りなど他の釣りにも転用できる
2 ベイエリアがいいんです
ここでいうベイエリアとは、市街近郊の湾奥で潮が緩く、海中に設置された構造物が多い場所のこと。チヌは「なにかに着いていたい」魚なので魚影が濃いのだ。
柳原「構造物は釣り場探しの目安になるし、なにもない場所より明確に狙いどころが分かるので、フカセ釣りもやりやすいです」
これはこれから始める人にもおすすめの場所だ。
構造物に着くチヌをマキエでおびき出して釣っているところ。狙う距離もつかみやすい。
3 2,000円くらいのエサで遊べます
今回は、マキエとして『キザミッコ』1袋に、『生さなぎ黒鯛』1袋。サシエには『生イキくん』1パック。この量でものんびり釣って4時間ほど遊べた。ちなみにエサ代の予算はマキエとサシエ合わせて約2,000円。
柳原「フカセってもっと予算がかかるものだと思っていたんですけど、これならルアーの合間に月1回はできるかなと」
そう、近場のチヌフカセはリーズナブルに遊べる釣りなのだ。
※1「オキアミと配合エサをあらかじめ混ぜておいて、現地で水を入れて練る。量はさほどないのですぐにできあがる
※2 匂い、濁り、視覚効果でチヌを寄せる。オキアミとなじみよく、しっかりまとまるので少々深い場所にもキッチリ届けられる
※3 サシエはこちら。チヌには大きめなサイズがよいというのも最近学んだそうだ
4 こんな仕掛けでチャレンジ
ベイエリアは流れが緩い場所がほとんどなのでおおむねどこも釣りやすい。目安はチヌが着く構造物があること。水深は3~5mほしい。この水深は「タナ取り」をすれば分かる。このタナ取りはチヌを釣るうえで重要なことなので覚えておこう(図参照)。
仕掛けは半遊動仕掛けがおすすめだ。ウキ下を設定して、毎回同じタナに的確にサシエを届けることができる。底付近からはじめて、チヌの食いに合わせて浅くしたりもするが、初めてならチヌに出会うことを最優先にして終始底狙いでもOKだ。
※1 水深が分かればそこから海中がイメージしやすくなる。狙っている場所が分かればフカセ釣りはぐっとおもしろくなる
※2 ハリの先にゴム管付きオモリをセットして水深を測る。オモリの重さは、Bのウキなら1号が目安
※3 はじめのうちはこのように釣るとよい
「きました! やっぱり磯竿で釣るのは楽しいですね!」
なんと2投目でヒット!30cmほどのチヌだったが、ウキをきれいに引き込む気持ちよいアタリと小気味よい引きを見せてくれた。
「早起きして来たかいがありました。 もうちょっといいサイズを釣りたいですね!」
柳原くんは20分後に同じパターンで同サイズをキャッチ。そしてさらに30分後に3匹目をヒットさせた。これは磯竿が大きく曲がった!
「デカいですよ! ヤバっ! 楽しい!」
1.5号の竿が大きく曲がる。楽しそうにやり取りする柳原くん。なんともうらやましい。これは最長寸となる44cmのチヌだった。
※1 2投目でヒット。気分は爽快!
※2 またも30cmクラス
※3 少し日が高くなると小アジがマキエに群れはじめた
※4 アジの猛攻をかいくぐってヒット!
その後もコンスタントにヒットを重ね、結果は7時から11時までの4時間で25~44cmのチヌが4匹にキビレ1匹、アジ4匹、ハゼ2匹という結果だった。ちなみに大型らしきチヌも掛けたが無念のバラシ……。
仕掛けは上潮が緩んだときにサシエをよりゆっくり沈めるためにハリ上のG5を取ったくらい。それで4匹目、5匹目のチヌをキャッチした。ペースとしては15分間隔でなにかしらヒットしたので飽きないまま終了できた。
「ちょうどお昼だし、とんこつラーメン食べて帰ります。次回はルアーかなって思っていましたけど、悔しい思いをしたので次回もフカセになるかも?」(笑)
ゆる~い気分で出かけられるのに、ガッツリ楽しめるベイエリアのフカセ釣り、この秋いかが?
※5 清々しい青空の下で思い切り竿を曲げる。ぜひ味わってほしい瞬間だ
5 手軽な装備でOK
ウエアは動きやすい格好+自動膨張ライフジャケット。タックルは竿、リール、玉網など一式が入るロッドケースとエサを入れたバッカンがあればひとまずOK。この装備なら荷台付きの自転車で十分運搬可能だ。
柳原「格好はルアーをするときと変わらないですね。エサがあるので荷物がちょっと増えるくらい。気にならないですね。魚はリリースするのでクーラーはいらないです」
できる環境で最大限の準備をすればいいのだ。車がないと釣りができないわけじゃない。
※1 道糸は『磯スペシャルテクニシャンHi-Color Type TC-H』。操作性がよく視認性もよい
※2 ウキはこちら。Mサイズを使用。しっかり見えて、アタリがあったときはきれいに沈んでいく
※3 タックル一式が入るロッドケースとマキエとサシエを入れたバッカン。荷物はこれだけ
※4 腰巻き自動膨張にはこのようにポーチをセット
※5 ライフジャケットにポケットがないとフカセはしにくい!なんてことはない。ポーチを1個セットしておけばOKだ。この軽快さを味わってほしい
※6 中にはハリやサルカンなどが入ったケースにガン玉ケース。1.5号のハリスが入っている。ハリスはルアーのときはリーダーにしているとか
生さなぎに乾燥さなぎ、生さなぎエキス配合で広範囲に強力に効かせることができる。黄ムギとコーンはひらひらと沈みつつ、カラーでもアピール。高比重でまとまりやすいので、オキアミ+単体でもいいし、ベースにも最適。
※1 釣った魚は今回すべてリリース
※2 散らばったマキエは洗い流すこと。見た目ももちろんだが、匂いが残るので周囲の人やあとから来た人にイヤな思いをさせてしまう