小さなオキアミを、
広大な海で探す。
私たちが釣り餌として扱うオキアミの一つが、南極海に生息するナンキョクオキアミです。
姿は小さなエビに似ていますが、エビとは異なる仲間。群れをつくって海中を泳ぎ、さまざまな海の生き物の食料にもなっています。
いつもの一粒に、
出会う場所。
南ジョージア島や南オークニー諸島周辺などの漁場から、日本の釣り場へ。私たちの釣り餌づくりは、この遠い海とつながっています。
その小さな生き物を、広い海のどこで見つけるのでしょうか。
手掛かりになるのが、ソナーです。海中の群れを探し、その位置を捉えて、トロール網で漁獲します。
皆さんが釣り場で魚の気配を探すように、漁の現場でも、まず相手がいる場所を見つけなければ始まりません。ただし、舞台は南極海。日頃立つ防波堤や磯とは、まるで違う規模の海です。
漁場では、海の状態を見ながら仕事が進められます。大きな船を使う漁であっても、自然の条件を無視して続けられるわけではありません。
漁船は、海に浮かぶ
加工工場でもある。
オキアミ漁の船には、獲るための設備だけでなく、加工設備と冷凍庫が備わっています。
ここが、オキアミを釣り餌として皆さんに届けるうえで大切なところです。
オキアミは、船に揚げた後の取り扱いが品質に関わります。獲れたものを、そのまま長く置いておくことはできません。漁獲後は速やかに次の工程へ送り、加工と冷凍を進めていきます。
サイズを分け、混入物を取り除いて洗浄します。
用途に応じて処理。ボイルタイプは船内で加熱します。
金属製の容器で凍結し、梱包して冷凍庫へ。
船上では、サイズを分け、小魚やクラゲなどの混入物を取り除き、洗浄します。その後、用途に応じた処理を行い、金属製の容器に入れて凍結させます。
生タイプだけでなく、ボイルタイプのオキアミも船内で加工されます。釣具店で見掛ける、生とボイルの違い。その出発点の一つは、すでに南極海の船の中にあるのです。
「網に入ったら終わり」
という仕事ではありません。
獲る人から加工する人へ、加工する人から冷凍・保管を担う人へ。船の中で仕事をつなぎ、初めて日本へ送り出せる原料になります。
日本の釣り場を思いながら、
船上で品質を見る。
私たちヒロキューは、日本から検品を担うスタッフを送り、漁獲から加工、冷凍までの現場に関わってきました。
日本で受け取った原料を確認するだけでなく、原料が生まれる場所から仕事に参加する。それも、私たちの釣り餌づくりの一部です。
皆さんがオキアミを見るとき、気になるのはどんなことでしょうか。
粒の大きさ。形の整い方。ハリに刺すときの扱いやすさ。マキエとして使うのか、サシエとして使うのかによっても、見るところは変わります。
船上で扱うオキアミは、やがて、そんな一人ひとりの釣り人の手に渡ります。遠い南極海での仕事を、日本の釣り場での使い心地につなげる。その思いで、私たちは原料と向き合っています。
食堂も、寝室も、仕事場も。
暮らしのすべてが船の中。
漁船は仕事場であると同時に、
生活の場でもあります。
私たちが漁の現場で記録してきた写真には、網や加工設備だけでなく、船内の食堂や居室、乗組員が集まった姿もあります。
食事をする場所があり、休むための部屋があり、仲間と過ごす時間があります。海の上で仕事を続けるには、漁をする設備と同じように、暮らしを支える環境が欠かせません。
船で過ごす、日々の風景。
A SMALL PHOTO JOURNAL食べる場所も、海の上。
小さな部屋で、ひと息。
蛇口をひねる。
その当たり前が変わる場所。
陸にいれば、蛇口をひねることを特別には感じません。しかし、船では水も暮らしを支える大切な資源です。こうした掲示にも、陸上とは異なる船の暮らしが表れています。
そして、船の外には、波をかぶる船首や、海面を覆う氷、海に沈む夕日。
オキアミを獲る現場をお伝えするとき、私たちは、こうした暮らしの風景も知っていただきたいと考えています。釣り餌を届ける仕事は、海の上で過ごす一日一日の積み重ねでもあるからです。
凍ったオキアミを、
次の船へ託す。
加工・冷凍したオキアミは梱包し、船内の冷凍庫で保管します。その後、輸送船へ積み替え、日本へと運びます。
漁をする船から、原料を運ぶ船へ。ここでも、仕事は次の人へ受け渡されます。
そして、日本に到着したオキアミを冷凍保管し、国内での加工へ進めます。釣具店に並ぶブロックや、使いやすく整えたサシエになるまでには、まだいくつもの工程が待っています。
遠い海から届いた原料を、どうすれば釣り場で使いやすい餌にできるのか。
次の物語では、私たちヒロキューの製造現場をご案内します。
次に一尾をつまむとき。
私たちが扱うオキアミは、海の大切な資源です。南極海では国際的な管理のもとで漁が行われており、海の生態系と資源を考えながら利用していくことが求められます。
獲ること。品質を保つこと。運ぶこと。そして、海の資源を大切に使うこと。
小さなオキアミ一尾を皆さんに届けるまでに、私たちは多くの人と仕事をつないでいます。
次の釣行で、オキアミをハリに刺すとき。あるいは、マキエを混ぜるとき。
その一粒が南極海から届いたことを、少しだけ思い出していただけたらうれしく思います。いつもの釣り餌とともに、その向こうにある船と海、そこで働く人たちの思いもお届けしたい。それが、私たちヒロキューの願いです。
釣りエサのヒロキュー


